真面目にひたむきに古民家を未来へ繋ぐ。古民家再生住宅|施主邸ルームツアー(後編)&社長インタビュー

「活かして直す」の決断に技術で応えたい

もし家編集部

前回2020年の8月に工事中の取材をさせていただいたお家なんですよね

正田さん

着工したのが2020年6月くらいなので約10ヶ月くらいですね、工事をさせていただきました。無事にこうやって出来上がりました

もし家編集部

古民家再生となると工期はどうしても長くなってしまうんでしょうか?

正田さん

そうですね。やはり解体からいうと住まれているお家からというと引越しから始まったり、引越し先を探したりだとか、そこから始まりますし。出てから今度は建物の一部、中の解体だとかそういうところも発生するんで、最初の1〜2ヶ月くらいは解体とかそういう準備作業というのが大きいですね

もし家編集部

そこから足場を立てて

正田さん

はい。足場を立てて、骨組みに近い形になったところを構造を直していくみたいな作業です

もし家編集部

ちょうどそのタイミングで前回取材させていただいたんですよね

正田さん

時期的にも良かったかなということで見ていただきました。
古民家をやるのも選択肢があると思うんですよ。最初から古民家を直そうという方もおられれば、これはもう壊そうかなと思われていた方が古民家を再生されるケースもありますし。
実際、古民家を壊すというのは簡単なことなんですけど、それを活かして直していこうと決断していただいた方には、ぜひこういう風に僕らも技術を発揮しながらやれればいいかなと

正田さん

やっぱり同じ費用かけるなら、新築で建て替えてポンと建てるよりかはその費用を古民家の方に充てていただくと、今ではできないようなお家づくりができるので、いい雰囲気になりますんでぜひその選択肢も一つ入れていただいていいかなと思います

もし家編集部

すごく職人さんの技術力が見受けられる箇所が多々あったなという印象ですね。
やはりそれはなんば建築工房さんの今までの経験や培ってきたところが垣間見えてるんでしょうか

正田さん

社内の風土的に、職人さんがどういう風にやるかを考えてすることが多いんですよ。古民家って手仕事になるんで、図面とか全てに起こせるわけではなくて、やっぱり現場での作業っていうのが大切になってくるんです。ということは職人が自分で考えてしっかりしておかないと、一つ一つの古民家に対応ができないんで

正田さん

職人にとってもやりがいがありますし、昔の職人さんの仕事を見ながら自分の仕事をどうしていこうかと考えてやってくれるっていうのが、自社で職人を育てていて、そういうことを考えてできるのは古民家なんでいいなと感じたりしますね

もし家編集部

当時の職人さんから現代の職人さんにも引き継がれているんですね

正田さん

なかなか古いお家を見ただけとか構造を見ただけではまさかこうなるとは皆さん思い浮かべられないと思うので、こういう取材を通じて見てもらえたら

過去から現在、未来への想いまで引き継ぐ

もし家編集部

お施主様との出会いはどんなものだったんでしょう?

正田さん

着工は2020年6月頃で、打ち合わせ自体はその1年前くらいからはさせていただいておりました。ここのお施主さんも先代から建物を引き継いできたので、やはり建物を大事に考えて直してくれるところがないかなと結構色々見に行かれたみたいです

もし家編集部

設計事務所さんにも行かれたとか

正田さん

そうみたいですね。
いろんな提案を受けたんですけど、何かこうしっくりいかなかったところがあったりした時に私たちに出会って、職人がいることや今までの事例とか私たちの家づくりの考え方を知っていただいて、話を聞いてみようかなというところから始まっていった

もし家編集部

築100年、ここから次の時代にうまく継承していきたいというお施主さんの思いがあったんですね

正田さん

そうですね。次の100年にまたこの建物が残っていける土台が築ければということで

もし家編集部

そこで、なんば建築工房さんだったんですね

正田さん

古民家リフォームという形で古民家を綺麗にリノベーションで内装を綺麗にしたり、元あった古民家の中に部屋を作るみたいな感じでのリフォームっていうのもあるんですけど

もし家編集部

お化粧のイメージですよね

正田さん

ここのお施主さんが言われていたのは、元々の構造躯体とかが次の100年にってなると骨格がしっかりしていないといけないということで。
屋根の雨漏りもそうなんですけど、柱の入れ替えとか差鴨居を変えるとか、そういう構造躯体を重視していただいてそこさえ直せば、あと中のお化粧というのはどうにでもできるんで。そういうところをしっかりとご理解いただいて直させていただいたんで、屋根の雨漏れさえ気をつければ次の100年はまた保つかなと思います

もし家編集部

お家を見ていても、躯体や屋根にしても次の100年に繋げるようなご提案をされているのがすごく感じられましたね

正田さん

それがないと「再生」とは言えないので。
経済的にいうと職人に任せてさせるとか、仕事もしなくていいんじゃないかな、ボルトで付ければいいんじゃないかなというような仕事も正直あるのはあるんですけど、そういう思いも職人も一緒に家づくりができるのが古民家かなという風に思ってるんで。職人の思い、お施主さんの思いとか、みんなの思いを引き継ぐっていう意味では大切かなと思います

もし家編集部

自社職人ということですが、当時の職人の思いも今の職人さんたちが受け継ぐということでもあるんですね

正田さん

2階にあった梁だとか大黒柱にささる仕事があったりするんですけど、そういうところを見ると昔の職人さんの技術力だとか、機械がなかったからというのもあるんですけど、技術を使ってやってる姿だとかそういうのが解体してたりすると思いがわかるんですよ。
やっぱり職人である以上それに応えようという思いでできる限り現況を活かしながら、使い方や生活の仕方は変えてもそこの部分は変えないようにスタッフも職人も、みんなが意識してます