歴史と思いをさらなる次の世代へ…古民家再生住宅|施主邸ルームツアー(前編)

元からある古民家のよさをできる限り活かしたい!

正田さん

ダイニングキッチンは元々畳の続き間があった場所で、ダイニングスペースくらいまでが畳の部屋でした。裏にも建物があって減築をしたという感じですね。
ここの梁のラインが屋根と屋根が重なる雨漏れがしやすいところだったので、ほぼ柱も交換しました。
覚えてます?「◯鴨居」という…

もし家編集部

あ〜…!完全に…記憶が抜けてます…

改修前、雨漏れにより傷んでいた梁
そのもの自体が構造躯体となっている「差鴨居」

正田さん

「差鴨居(さしがもい)」といいまして、構造躯体は上に一個ありまして、その下にもう一つ構造躯体。
今は鴨居の役目にはなっていないんですけど、建具が昔入ってたところです。ここが雨に濡れて梁が傷んできたという事で、差鴨居をもう一度復元して直しています
一般的な柱は10.5か12cmくらいが多いですけど、一番建物の荷重がかかりそうな部分なのでここの柱は周りのより一回り大きい五寸(15cm)にして差鴨居を差して込み栓で打ちました

高度な職人技により、後年も家を支え続ける大黒柱

正田さん

これがお家の大黒柱にあたる部分です。足元が傷んでた部分なんですね、石の上に乗ってたと思うんですけど。
途中柱を切って繋ぐという技術です

もし家編集部

これは木と木を単純に繋げているだけなんですか?

正田さん

繋げて込み栓で打って繋げてあげるんですね。大黒柱というのは、梁が四方から刺さってるケースが多くてこれを替えるというのは大変な事なんです。替えられない事もないんですけど、元からあるものも活かしながらという事でね、職人さんの手仕事でやってあげる。
本来ボルトで付けるのが簡単なんですけど、元々これを作られた大工さんに敬意を払う意味も込めて

改修中の大黒柱

正田さん

今時の古民家のリフォームというと、こういうものを隠して作業する事が多いんですよ。
「古民家の再生」じゃなくて「古民家のリフォーム」という形で、柱とか梁とか桁を隠して「古民家の中に部屋を作る」みたいな感じでね。
できる限り古民家の良さというかね、職人の手仕事を活かしていけるようにという事で

もし家編集部

大工さんへのリスペクトと、職人さんの技術力があってこそ成せる業ですね

正田さん

天井も元あるものをそのまま使っています。
キッチンとかは今時のものを、皆さんショールームに行って選んでいただいたり。IHを採用されたり食洗器とかもね。
いくら古民家とはいえ、使い方とか過ごし方は今の時代に合わせないといけないので、皆さん最新の設備を付けられますね

再生を決めた施主様の想いも大切にしたい

もし家編集部

ここは前にも和室があったところですね

正田さん

以前は窓の外に建物があってここは薄暗い部屋でした。
障子から光を入れてます。窓外の北側手に農道があって人が歩いているのが見えるので、少し目線を遮る意味でも障子がちょうど良かったりします。
襖も元あるものを使ってるという事で、逆にこれに合わせて色々作っていくみたいな

もし家編集部

落ち着きのある空間になってますね

正田さん

捨てるのは簡単です。やっぱり再生されるお施主様には思いがあるので、あるものをすぐ捨てるんじゃなくて活用してあげようという事でね。
この襖も歴史を感じるでしょ

正田さん

襖を張り替えてあげるとまた真っ新になるんで、これからお施主様が替えられるという事なのでサイズに合わせて使える建具は使おうという事で残しています

もし家編集部

先ほどの腰掛けれる隣りの和室は客間になるんですよね

正田さん

古民家でいうと、この客間が一番重要視されていた。どうしてかというと、昔は皆んなで助け合いをしながらお家づくりをしていっていたので、お客様を出迎えることを大切に思われてきました。それが日本人の考え方であったり文化であるんですけど、それが色濃く残っているのが畳の部屋なんです

もし家編集部

ちょうど外から入ってこられる場所に設置されてますもんね

正田さん

入って来た時に床の間に季節の掛け軸だとか、お花とか花器を置いて季節を感じさせるというね。
天井高が他の部屋より高いの分かりますか?畳の部屋が一番天井高を高くするという、ルール的にも決まってるという感じですね

他の部屋よりも天井高を高くすることが客間のルール

もし家編集部

ルールなんですね!

正田さん

昔は冠婚葬祭とか畳を繋げて襖も取り外しがきくので全部一体で使うんですけど、そうなった時にここで舞を踊るとかする時に天井が低いと踊りにくかったりとかするので

正田さん

だいぶ明るくなってるんですけど昔は日本家屋って若干暗めに作られていまして。軒も深いですしね。
客間から庭が見えるというのもね、暗い所から明るい所を見ると庭がすごいキレイに見える。障子も擦り上げ障子といってガラスが入っています

もし家編集部

障子の下側が開くことによって圧迫感もなくなりますね

正田さん

座卓で座った時に、ここから見える庭がキレイにという事で。
冬の寒い時は建具閉めながら外の景色を楽しむという風流ですね

もし家編集部

なるほど!ロマンチックです!

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HOUSE DATAハウジングデータ

延床面積 122.46㎡(37.04坪)
1F面積(吊屋含む) 94.98㎡(28.73坪)
2F面積 27.48㎡(8.31坪)
工法 伝統工法(木造軸組2階建て)
家族構成 夫婦
竣工 令和3年3月

COMPANY DATAこの家を建てた工務店・住宅会社

株式会社 なんば建築工房

住所 倉敷市児島上の町1丁目11-44[MAP]
電話 0120-780-492
時間 8:00~17:00
定休 毎週日曜・祝日・GW・夏季・年末年始休暇