失敗から学んだ、家づくりの知識の大切さ│コンセプトハウス ルームツアー(後編)

建房の代表である大森さんにコンセプトハウスを紹介いただいた前編に続き、この後編ではインタビューをお届けします。
自身の家づくりでの失敗、会社の創業やコンセプト、そして住宅業界の実情など、なかなか聞くことのできない貴重な内容を語っていただきました。動画・記事の両方でお楽しみください!

大森さん

【今回の社長さん】
代表の大森と申します。
私自身が施主として家を建てた時の失敗。経営者として大事にしていること。建房が所有している「家づくりの夢を叶える」ロジックなど、全てしっかりとお話しいたします。

ひときわ個性を放つ外観(写真提供:建房)
東西南北に窓がある、内と外のつながりを感じる空間
ギャラリーのような、螺旋階段のある土間玄関

※提供写真は取材時に撮影したものではありません。

広さの物差しは面積ではなく体積で

コンセプトハウスの2階にてインタビュー

初谷

今日は見学させていただきましてありがとうございました。このコンセプトハウスは窓の量がすごくて開放感がありますね

大森さん

ここは2階がリビングになっているので、普通ではなかなか難しい東西南北に窓を付けられたんです

初谷

大森さんが建房を創業される前職時代にご自宅を建てられて、結果として色々と問題があったというのを聞きました。工務店の社長さんがかつて建てた家が、言ってしまえば失敗だったということで、どういうところが良くなかったのかなど聞かせていただけますか

大森さん

ただ単純に無知だった。やはり知識がない状態で建てたっていう所が要因だと思います。皆さんに後悔はしてほしくないので、1つのヒントにしていただければと思い、恥ずかしながら3つほどお話しさせていただきます。まず1つは、無駄に広い

初谷

ふつう「広い」っていいイメージですよね?

大森さん

はい。皆さん「広い方がいいじゃないか」って思われると思うんですけど、実際の家の広さと、広く感じるのはイコールではないんですよね

立体的な広さを感じさせるコンセプトハウス(写真提供:建房)

初谷

哲学的な話になってきましたね(笑)。広さと、実際に感じる空間的な広さの違いですか?

大森さん

建物の広さって坪数とか㎡数で表せますが、それって2次元、縦×横なんですね。でも、僕らが感じる広さっていうのは3次元、立方メートルで表されるので、だから「坪数=広さではない」ということですね

初谷

たしかに一般的には、この家が広いか広くないかって延床面積で考えてしまいますよね

大森さん

はい。でも、実際の物差しは容積・体積じゃないといけない、ということですね。で、広すぎたら何が問題あるかっていったら、まず建てる時のコストももちろんかさみます。でも、その後の生活を考えたときに、僕、休みの日は掃除機係なんですけど、掃除機かける面積も多くなっちゃう(笑)

初谷

確かに言われてみれば。普通に生活していくうえでも影響があるんですね

大森さん

だから、僕が次に家を建てるんだったら、面積としてはコンパクトに。でも、狭いのは嫌だから、コンパクトでも広がりがある家にします。そうすれば、満足度は下げずに掃除機かける面積は小っちゃくなるので(笑)

初谷

なるほど。坪数が単純に広いということが失敗ポイントということですね

大森さん

そうです。そんなに広く感じないのに、掃除機かける面積は大きいという(笑)、最悪な状況ですね

このインタビューを行った、アトリエ建築家の設計による「等身大でかっこいい家」コンセプトハウスのルームツアーは >> こちらからご覧になれます

サッシを選ぶ際にもメリットデメリットをよく考えて

初谷

2つ目のポイントを教えていただけますか

大森さん

時代背景が顕著に表れているんですが、僕が家を建てたのが、約14年前。その当時って言ったら、例えば窓の性能がアルミサッシっていうのが普通でした。でもここ10年くらいで樹脂サッシだとか、中には木製のサッシだとか、断熱性能が高い窓っていうのが登場して。14年前に建てた僕の家はアルミサッシなので、メチャクチャ結露するんですよ

初谷

窓一つでも違いがあるんですね

大森さん

そうなんですよ。アルミは熱をよく伝えるので、外と中の熱を伝えあってしまって、そこで結露が発生するんです

初谷

なるほど。樹脂サッシはそういうことはあまりないんですか

大森さん

弊社のお客様のお話を聞くと、やっぱり結露はほとんどしないと。なので、そこで大掃除の1つが省かれるんですよ。結露してたらレールの部分がカビになって黒くなってしまうから

初谷

確かに…僕の実家がそうなってしまいました(笑)

大森さん

1点目も関係してくるのですが、家が広いと窓も増えているので、大掃除の面積も広がってしまう

初谷

なるほど。家の広さも関係してくるんですね。最近サッシの性能っていうのは格段に上がっているんですか

大森さん

上がってますね

サッシ選びにはメリット・デメリットの理解が重要(写真提供:建房)

初谷

どういう物を選べばいいのか基準を教えていただけますか?

大森さん

性能だけでもないんですよね。やはり、住宅に必要な3つの要素「デザイン・性能・コスト」、このバランスが大事だと思います。例えば、オール樹脂サッシにするか、ハイブリッドって言って、外がアルミで中が樹脂のサッシにするか

初谷

ハイブリッドなんていうのもあるんですね

大森さん

はい。性能だけを見たら、もちろんオール樹脂の方がいいです。でも、デザイン性に少し差が出てくるんです。例えばフレームの厚みとか。だからデザインやもちろんコストも加味して選ばれるのが良いんじゃないかなと思いますね

初谷

最近、木の家の人気もあって、木製サッシを求められるのも聞いたことがあるのですが、木製サッシってどうですか?

大森さん

木製サッシは、断熱性能で言えば無敵ですよね。風合いもある。ただ、やっぱり全ての物事にメリット・デメリットがあるので、木製サッシを選択される場合は、まずコストを気にしないといけません

初谷

やっぱり高いんですね

大森さん

高いですね。あと、オーナー様がメンテナンスが出来るキャラクターなのかどうかも気にした方がよいです

初谷

メンテナンスも重要になるんですか

大森さん

必要になってきますね。やっぱり木になりますので、例えばオイルを塗ったり、場所によっては、湿気のある田んぼの横とかだと、カビが発生してくる可能性もあります。東西南北どの面かによっても違いますが、メンテナンスは必ず必要になりますね

初谷

なるほど。やっぱりサッシ選びについても、メリット・デメリットよく考えて選ぶ必要があるということですね

大森さん

はい。そういう意味でもやはり知識が必要です

初谷

カッコいいからってとりあえずして取り付けてしまったり、安いからって取り付けてしまうと、後で大変なことになるということですね

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