真面目にひたむきに古民家を未来へ繋ぐ。古民家再生住宅|施主邸ルームツアー(後編)&社長インタビュー

仕上がりから見える職人の心

正田さん

2階も梁もきれいに拭いてあげたりして。ここは一旦倉庫で使うということですので、床の仕上げはこういう感じでこの上に絨毯なり敷いて使うということでしたね。
屋根は垂木、野地板、この上に断熱が入ってまして、空気層を通って暑い空気が屋根のてっぺんから抜けるようになってます

新しくなった垂木・野地板、そして断熱材を入れた屋根部分

もし家編集部

垂木がさっき外から見えてた部分ですよね

正田さん

これがそのまま見えているという感じですね。
梁との間の隙間を「面土」と言って、職人が埋めていっているんです
結構細かいんです。パッと見たら単に埋めてるだけかなと思うんですけど、これ一個ずつとなると相当なんです。
めんどくさいの面土。面土がめんどくさいんです、これが(笑)

梁との間にできてしまう隙間も丁寧に手で埋めていく

もし家編集部

細かいですよね!すごいですね。
なるほど、面土がめんどくさい(笑)

正田さん

これギャグじゃなくて本当の由来なんですよ(笑)。
元ある土壁は残してあげて、汚れてきたら上塗りできれいにしてあげたらまたずっと使えますし。
今のやり方っていうと外に合板を貼ったり、筋交いと言って斜めに耐震補強とかするんですけど、昔は土壁を入れて抜きっていうのを横に入れてくさびを打ってこれで揺れても保つように。土壁も詰まってますので耐震の一部にもなる。基本的には古民家は揺れて保つという考え方です

もし家編集部

当時のもの、現代のものを合わせて再生されているんですね

正田さん

最新の断熱のやり方も取り入れながらですね。
この階段に面した建具も元々あったものです。元々あった欄間も柵として使ってます。前までは何もなかったので危ないなということで

欄間を安全柵として再利用

正田さん

あと光をしっかり1階まで降ろそうということと、広く開けられる方がいいので扉を引き込めるよう、この柱を若干ずらして引けるようにさせていただきました。

正田さん

ちょっとしたことなんですけど、手間もかかるんですがうちの大工が使いやすいようにプラスアルファ、こういう風に仕事が見えるというのは本当にいいなと思いますね。
こっちから見たら木って光るんですよ。光に反射して木が光る

もし家編集部

横から見るとすごく光ってます!

正田さん

機械だけでポンと削って持って来るだけだと、木の表面が毛羽立っている。
大工が丁寧にカンナをスッと当ててあげるだけでも汚れがつきにくかったり、仕上げも10年20年100年経った時に色艶が良くなるので

もし家編集部

なるほど…!

正田さん

これも当時の玄関にあった建具を上に持ってきました。これは仕事が良かったんで、捨てるのはもったいないなということで物置の仕切りにしました。こっちは本当の小屋裏みたいな形になっていて、趣味の部屋ぐらいには使えるような空間になっています

100年前の職人の確かな技術があってこそ再利用が可能に
小屋裏は趣味の部屋にちょうどいいサイズ
ダイナミックな構造が間近に見られるのは古民家の醍醐味

もし家編集部

昨年の工事中の取材を見てたので、こう変わったのかと感動です!

正田さん

なかなか工事中とか工事する前とか見てると、まさかこういう姿になるとはっていうのはみなさんわからないところなんですよね。
前回取材していただいた構造の時と、今回出来上がりを見ていただくとすごくわかると思いますね