「もし家」編集部では、職人さんの確かな技術力と古民家への造詣の深さから「古民家と言えば、なんばさん!」と言われているなんば建築工房。今回見学させていただいたのは、10年前に同社が改築を手掛けた、なんと築145年の立派なお住まい。暮らしやすさに配慮した大胆な間取り変更も見どころです!動画と記事でぜひご覧ください。
取材日:2021年1月17日
正田さん
【今回の社長さん】
なんば建築工房の正田です。今回は10年前に弊社で古民家再生を請け負わせていただいたお宅をご紹介します。家とともに受け継がれてきた「想い」も大切に残しつつ、住みやすさを高めた素敵なお住まいです
※当取材では出演者同士は十分な距離をとり、また出演者以外のスタッフは常時マスクを着用するなど感染症予防対策をした上で行なっております。
玄関を南側から北側へ大胆移動
もし家編集部
もし家編集部です!
今日は、なんば建築工房さんで建てたお家におじゃましています。もうすっかり「古民家といえばなんばさん」というイメージですね!
正田さん
いえいえ、そんなことはございません(笑)
もし家編集部
大きなお家ですね。築何年ぐらいなのでしょうか?
正田さん
約60坪程で、お施主様からお聞きしているのが築145年ということでした
もし家編集部
145年!何度か改築、リフォームをされて今に至る感じなのでしょうか?
正田さん
そうですね。大きなリフォームは、ちょこちょこと。実は母屋があって、今の玄関がある場所に増築した建物が建っていました。すぐ前にある水路ギリギリまで建物が建っていた形です。古民家のあるあるですね
正田さん
どうして古民家から増築するのかというと、昔の古民家は建物の外にお風呂やトイレがあったので、昭和の時代に水回りを増築するケースが多かったんです。今回は、建物の規模も大きくて傷んできたということもあり、玄関の位置を元々あった南側から今の北側に変えました
もし家編集部
玄関の位置を変えちゃっている?門も新たにつけたということですか?
正田さん
そうです。水路に橋を架けて玄関前に車をつけて荷物の出し入れもできるようにした、現代の使い方ですね。門も含めて玄関まで建物があったのでこの辺りはほぼ全改装しています
もし家編集部
今回も新しくされたということですか?
正田さん
そうですね。「虹梁丸太(こうりょうまるた)」といって、端から端に丸太をずっと通して、柱で支えているような形です。
屋根は瓦の屋根の下にもう1枚銅板の屋根をしているので、若干高さが低い感じですが、和風のお家は低いほうが落ち着いていたりしますね
正田さん
水回りがあったりするので、木製の格子や、玄関を入ったところの格子も建具をさせていただいています。あとは、石があったり、洗い出しがあったり、角に縁の石があったり、元々の古民家の基礎になる石があったりします
もし家編集部
使っている基礎の石は、元々この場所にあったものなのですか?
正田さん
そうです。あったものをそのまま使う形でさせていただいてます
老舗旅館に足を踏み入れたかのような玄関
もし家編集部
おぉ〜、すごい。旅館みたいですね!
正田さん
ですね。玄関に入った時に、まっすぐ向こうの景色がスパッと見えるような設計になっています。
玄関は元々は畳の部屋があった場所でして、この天井は「大引天井」というんですが、梁があって地元の山で採れた木を張ってくんです
正田さん
梁があって板を張っているような天井の仕上げのことで、2階の小屋裏の床として使われています。一般的なお家は、隠すようにまた天井を張ったりするんですけどね
もし家編集部
梁が見えているのが趣があって、いいですね
正田さん
昭和の古民家は、梁を見せずにその下にまた天井を張ってしまったり、壁にはプリント合板を貼ったりと昭和なリフォームをして、ちょっと残念な感じになることが多いんですけどね(笑)
もし家編集部
外から見たら古民家な感じなのに…(笑)
正田さん
そうそう。中は中途半端っていうのが(笑)。そういうお家でも、内側は古民家の元々の姿が残っています。
玄関内は、下駄箱を作ったり、古民家は玄関の段差が大きいケースが多いので、一段二段と上がれる式台と框を設けました
もし家編集部
古民家を改装する時は、このように段を増やす場合が多いんですね
正田さん
そうですね。どこで段差解消をするかなども考えながらさせていただいてます