実際の古民家再生工事中の様子を取材させていただいた前編に続き、後編では古民家を選ぶ際に大切なことや職人さんの技術について、なんば建築工房の社長である正田さんに語っていただきます。
取材日:2020年8月22日
正田さん
【今回の社長さん】
なんば建築工房の正田です。
古民家再生というとハードルが高いイメージがあると思いますが、大事なのは古民家選びのポイントをきちんと押さえておくこと。丁寧に解説いたします!
ぜひ古民家の良さをもっと広く知ってもらいたいですね。
実際の古民家再生の見学記事は >> こちらから!
古民家を選ぶメリット・デメリット
もし家編集部
今日は、見学させていただいて、どうもありがとございました。非常に勉強になりました
正田さん
こちらこそ、ありがとうございました
もし家編集部
最近移住をしたい人ってすごくたくさんいると思うんです。古民家を選んで、それを改修して住みたいっていうニーズも多いと思うんですが、古民家を選ぶメリット、デメリットがあれば教えてください
正田さん
そうですね。今、古民家はテレビなどでも注目されていますし、憧れもありますよね。でも、テレビでは光の部分がよくクローズアップされるのですが、やっぱり影の部分もあることを知っておく必要があります。
それから、よく問い合わせがあって困るのが、買ってから相談があるケースです
もし家編集部
先に買ってしまうということですか!
正田さん
先に買っちゃって、いざどうしようって相談が結構困るケースですね
もし家編集部
例えば、旅先などで「安い物件だからと思わず買っちゃう」というのが実際あるのでしょうか
正田さん
そうですね。古民家と言うと、都会にはあんまりなくて、田舎にあるケースが多くてね。所有者の方も困られていて、お安く手に入る。車1台買うぐらいで、買えるケースもあるんですけどね
もし家編集部
安いのは確かにいいことかもしれませんが、どんな点で困るのでしょうか
正田さん
私たちの立場から言うと、見に行った時に正直言うとあんまり良くないケースもあるんです。すごく傷んでいる建物とか。よくないと思っていても正直には言いにくいっていうのがあります
もし家編集部
そういう時はどんな風に伝えるのでしょうか?
正田さん
費用が結構かかることを正直に言いますね。やっぱり傷んでいることや費用がかかることを知らないまま建物だけ買ってしまうっていうのが一番問題です。
特にさっき言っていた屋根が傷んでいる、壁が傷んでいる、床下が傷んでいるっていうのがどの程度かなど、しっかりと先に見て、費用面も含めて検討したうえで、購入されるかを判断した方がよいです
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解体費用や改装費用もしっかり考えて購入を
もし家編集部
なかなか言いづらいかもしれませんが、古民家の改修はどれくらいのコストがかかるものなのでしょうか
正田さん
建物の状態によりますね。屋根の状態が良いと、あと内装替えだけでいい場合もあります。
逆に、屋根も傷んで、足元もシロアリが食われていて、裏に鬱蒼とした林や森があって、もう蔦が生えているような建物だと、ほとんど解体した方がいいような建物もありますね
もし家編集部
買ったけど、古民家を残せないというのはとても残念ですよね
正田さん
そうなんです。解体しなければいけないとなると、移住された方がすごく残念な思いされると思うんですよ。解体しなくてよいとしても、実際100万で買ったのに、改装費用が5,000万円かかると「えっ?」てなるじゃないですか
もし家編集部
安く買っても最終的には高くなってしまいますよね
正田さん
はい。規模が大きい古民家っていうのは100万とか200万で解体できないケースもあって、400〜500万かかることもあります。100万で買って解体が500万かかって、じゃあ新築しましょうってなった時に「本当にいい買い物だったか」っていうと、なかなかそういう思いで買われていないケースがたくさんありますよね
もし家編集部
建物の価格だけで決めてしまうのではなくて、最終的にどれぐらい総額でかかりそうかを試算してから買わないといけませんね
正田さん
そうですね。あともう一つの例で言うとね、広大な敷地に大きな古民家が建っているケースです
もし家編集部
例えば最近「ポツンと一軒家」みたいなのを観て憧れている人も多いですよね
正田さん
そうですね。買った後どうなるかと言うと、やっぱり一人じゃ維持できないとか、改装費用がすごいかかるって言うケースが多々あるんです。
住むとなると、生活することを考えなければいけないので、必要以上に大きな物件の時はやっぱりしっかりと相談をして。管理や解体にも費用がかかりますので
もし家編集部
古民家って今の家が大きいのが基本だと思うのですが、小さくて状態の良い物件も探せばあるのでしょうか?
正田さん
ありますね。例えばすでに改装がされている古民家は管理がされていて状態がいいケースが多いですね。屋根や外壁周りも管理されていれば、中を使い勝手の良いように直すという感覚で改修も終わりますかね
次ページでは、どんな人に相談すればよいのかをご紹介!