古民家鑑定士が語る費用・技術・見極め方 | 古民家再生見学ツアー(後編)

古民家のことをよく知っている専門家に相談を

もし家編集部

なかなか素人だけで判断するのは難しいと思うのですが、どのような方にご相談するのがよいのでしょうか?

正田さん

基本的な建築のことがわかっていらっしゃる方、できたらこういう古民家の改修を経験されている工務店さんや職人さんに相談するっていうことと、あとは不動産のことを知っている方。できたら宅建の免許を持っている方がよいですね。
敷地が大きいケースだと道路などの権利関係がはっきりしていないなどごちゃごちゃしてしまうこともあるので

もし家編集部

以前に、建て替えをしようと思ったら私有地を通らないといけないので、改築はできるけれど建て替えができないケースもあると伺ったことがあります

正田さん

そういう物件もありますし、境界がはっきりしていなくて、買ってからお隣さんと話ああだこうだなるケースもあります。一番大切なのは先ほど言われていた道の関係。あとは建物の登記がキチッとされているかどうか
全て現金で対応される方は関係ないかもしれませんが、これから銀行で借入をして改装しようっていう方は、登記関係もちゃんとしているかどうかを見たうえで、ご購入をされるのがやっぱりおすすめですね

もし家編集部

現金で買おうと思っていても、改修費に何千万もかかることが分かると、現金だけでは対応しきれないケースも出てきますよね

正田さん

そうなんですよ。結構、後で困る方が多くいらっしゃいますね

もし家編集部

古民家を見るのに何か資格はあるのでしょうか?

正田さん

公的な資格ではないんですけれども、民間資格で古民家鑑定士という資格があります

もし家編集部

正田社長もお持ちなのでしょうか?

正田さん

もちろん持っていますし、今では教える立場になっています

もし家編集部

そういう資格や宅建を持っていたり、古民家の改修の経験のある工務店さんだったり、そういうところに依頼をすることができれば、ほぼ間違いなくちゃんと進めることができますね

正田さん

これから買う方も、それがあれば安心です

実際の古民家再生の見学記事は >> こちらから!

古民家再生に必要な職人さんの技術

もし家編集部

職人さんについてお話をお伺いしたいのですが、古民家を再生する時に職人さんの技術で必要なものはどんなことでしょうか?

正田さん

今の新築ばっかりやっている大工さんや職人さんは、どうしても既製品のものに頼りがちになるんです。極端な話、どこどこメーカーのやつを電話一本で仕入れて、それをつけるっていう作業ですよね。ですから「ノミやカンナを使わない仕事」っていうのが今の家作りのほとんどなんですよ。
古民家が大きく違うのは、既製品がないですから、ノミやカンナなど職人の技術が必要になってきます

もし家編集部

例えば、いわゆる「○○ハウス」などでやっている職人さんは、こういう古民家再生はできないものでしょうか

正田さん

私はね、基本的にはできないと思っています。昔やっていたという人は別ですけれども、今の主力の30代〜40代ぐらいの若い人には、技術的には難しいと思います

もし家編集部

僕自身、同じ職人さんであれば、技術の延長に古民家の再生もあると思っていたので、なんとなくお願いできるのかなと思いましたが、全くジャンルが違うと思った方がいいんですね

正田さん

そうですね。大体どこでも「古民家できますよ」って言うと思うんですよ。でも、技術が伴っているかどうかは頼んでみないとわからない。
そういうところも正直あるので、やっぱりしっかり職人さんの技術があるかどうか、古民家再生の事例が今まであるかどうかを確認するのはやっぱり大切だと思います

もし家編集部

寺社仏閣の建築などをやっているところだと対応できるケースは多いのでしょうか

正田さん

そうですね。基本的には、ノミ、カンナ、墨付け。そういう基本的技術が身についた職人さんが自社でいるっていうことが多いと思います。あとは会社に工場や加工場があるかが確認するポイントでしょうか

もし家編集部

なるほど。工場などがないと、準備したりする場所がないので対応が難しいということでしょうか

正田さん

会社にちゃんと在庫として木を持っていたりしますし、技術的なところでも安心できると思いますね

もし家編集部

ここの現場で使っている木材も、なんば建築工房さんの倉庫から持ってきたものが多いのでしょうか

正田さん

たくさんありますね。もちろん材木屋さんから足りないものは買いますが、一個一個買って集めるというよりは、手元に材料があって、うちの職人が見て、それを選んで工場で加工してこっちに持ってくるのが多いですね

もし家編集部

事前に準備して持ってくるというのも大事なことなんですね

正田さん

やっぱりそうです。既製品じゃないので、イレギュラーなこともありますし、寸法もまちまちですからね

もし家編集部

今日見学させてもらった柱を接ぐようなものも、工場で加工されているのでしょうか

正田さん

そうですね。うちの工場の中で探せば材料がありますので、それを加工する職人がいて、古民家を提案する私たちがいる。それらができる人っていうのがやっぱり揃わないと、こういう古い建物っていうのはなかなか本当の改修は難しいと思います

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