【特別企画第1回】家づくりのあんなこと・こんなこと 工務店の社長に聞いてみた!

もし家初の試みとなる今回の企画。初めての家づくりは疑問と不安でいっぱい…そんな人たちのために、「もし家編集部」の初谷が家づくりの本音話を聞きだすべく、岡山倉敷の工務店・まんてん.の麦田社長と建房の大森社長にぶっちゃけ質問をぶつけてみました!家づくりで気になる、あんなことからこんなことまで?を聞き出しちゃいますよ♪

全6回にわたりお届けする第1回目は「住宅メーカーの良し悪しを見抜くために本当に大切なこと」とは?家づくりを計画中の方に役立つ情報が満載です!記事と動画、両方でお楽しみください。

取材日:2020年12月11日

麦田さん

【今回の社長さん】
有限会社まんてん.の麦田と申します。岡山県倉敷市玉島で建築会社を営んでいます。性能・デザイン・コストの3つを意識しながら、「無理のない資金計画で建てられるお家」を提案している会社です

大森さん

【今回の社長さん】
株式会社建房の大森と申します。倉敷市に事務所を構え、主に県南が施工エリアです。「人と同じはイヤだ!自分たちらしい家を建てたい!」というお客様に、住み心地が良く、かっこいい家を、手の届く価格でお届けしている会社です

初谷

【インタビュアー】
初谷です。今回は建房さんとまんてん.さんにお越しいただき、皆さんが本当は聞きたいけど聞きにくいこと、疑問に思っていることなどをお聞きしたいと思います。仲の良いお二人なので、ぶっちゃけた話も出てくるのではないかと期待しております!

住宅メーカーの良し悪しを見抜くポイント

初谷

今回は、工務店の現役社長であるお二人に、聞きたいけどなかなか聞けない本音をうかがっていこうと思いますので、よろしくお願いします!

初谷

まず一つ目に、今から家づくりを始めようと思っている方が、これを聞けば工務店さんやハウスメーカーさんの良し悪しがわかるような鋭い質問があればぜひ伝授していただきたいのですが、「自分だったらこれを聞く」みたいな質問はありますか?

麦田さん

各会社さんの弱み、強みがありますから難しいですね…。
最初は強みの話をして、その頭にしてからいろいろ回らせる…ような会社さんも結構多いですね

初谷

最初にイメージを植え付けるような感じでしょうか?

大森さん

営業のときは基本的に自社のストロングポイントを使うことが多いと思うので、「御社の強みはよくわかりました。ちなみにデメリットはなんですか」と、あえてデメリットを聞くのもいいんじゃないですか?

麦田さん

それいいですね。例えば、「年間10棟までしかできない」などがあれば、なぜなのか質問してみるのは面白いと思いますね

大森さん

デメリットを正直に答えてくれる会社は、自社の弱みを本当に理解されているでしょうし、誠意が感じられますよね

初谷

たしかにそうですね

大森さん

僕らも工務店を経営していて、お客様に家を建てていただいて初めてビジネスが成立します。弱みを隠して強みだけで建てた結果は、お互いが不幸になる

初谷

強みに隠れて見えていなかった部分に、建てたあとで気がついても…ということですね

麦田さん

弱みの部分をどう捉えるかがポイントですね。例えば「年間10棟しかできない」のは、「きっちりした工事をしたいから、10棟にしたいんです」と、明確な理由があればいいんですよ。メーカーさんからすると大手の安心感がある反面価格が高いとか、その代わりうちはこういうことをやっていますと、包み隠さず話してきちんと答えてくれる会社はいいと思いますね

初谷

いいところと悪いところの両方を伝えたうえで判断してください、ということにできると。確かに、いいことばかり言われて訳がわからなくなりましたという声を多く聞くので、お客さんに「デメリットを聞かせてください」と、突然言われたらあせる営業マンは多いでしょうね(笑)

麦田さん

デメリットを聞かれてもしっかり対応できる方は本当にいいと思いますよ。あまり聞かれることないですから

初谷

質問した時の反応をしっかり見ておくこともポイントですね。デメリットを聞かれて、すぐにパッと答えられるものですか?

大森さん

僕は逆にこっちから先に言いますね。
今、麦田さんに聞いてみますか?まんてん.さんの弱みは?(笑)

麦田さん

(笑)

初谷

どうですか、麦田社長。まんてん.さんのデメリットは?(笑)

麦田さん

結局、いいところが悪いところでもあり、悪いところがいいところでもあるんですよ。
私たちは年間棟数をある程度決めてやっています。私も元々は大工から起業したので、やはり一件一件きちんと目が届く範囲内でやりたい、細々した部分もチェックしたいので、多くの棟数はできないことも当然お伝えします。数を増やせばその分ミスも出やすくなってきますから。
会社の中でもいろんな「想いの教育」はできないのでデメリットにもなり得るし、逆にいいと言ってくれる方もいらっしゃるので、どちらにも取れるんですけどね

初谷

なるほど。時期によってはお願いしてもすぐにできずに待っていただくことがデメリットにもなりますが、一棟一棟しっかりやっているということでもあり、いい面、悪い面の両方を持っているわけですね。
では、建房さんはどんなメリット・デメリットがありますか?

大森さん

麦田さんが言われたように、メリットとデメリットは表裏一体なところがあって、人によってメリットにもなるし、デメリットにもなります。
例えば、弊社のデメリットで言えば、家に特にこだわりがなく「なんでもいいです」という人にはあまり向かない会社かなと思います。ということは、逆に「人と同じはイヤだ」というお客様にはメリットになるし、強みになるんです

初谷

こだわりがある人の要望にはとことん付き合って、さまざまな提案を出していける。反対に「とりあえずおまかせで」という人だと、打ち合わせが進まない場合もある、と

麦田さん

割とおまかせの人がおまかせじゃなかったりするよね(笑)。ある程度こんなデザイン、こんなお家にしたいって希望がある方が打ち合わせはスムーズなんですよ。
おまかせ、なんでもいいって方のほうが、提案していくと「いや、もう少しこっちが…」と、意外に長くなるケースがありますね

初谷

なんでもいいわけではなくて、今イメージが湧いていない、希望が定まっていないだけなんですね。
会社側から提案してもらったときに初めて、キッチンはこうがいいとか、リビングはこうがいいとか具体的に思い始めるんでしょうね

麦田さん

お客様もある程度の情報を集めて、イメージが湧いてからお越しいただいたほうが、打ち合わせの回数も時間も少なくて済むので、お互いにメリットがあります。今はキッチンとか、インスタグラムとかピンタレストなどたくさんの情報がネットで見られますから、こういうものがいいとか、色合いとか、具体的にイメージがあったほうがスムーズでいいかなと思いますね

初谷

自分の中で定まっていない状態で良し悪しを判断するのも難しいですよね。仮に金額の安さを重視している人であれば、すごく安く建てられる会社はいい会社かもしれないわけですよね

麦田さん

そうですね。私たちがゴリ押しすることもありませんし、一般的にこうした方がいいですよということはお伝えしますけど、最終的には、お客様が納得して判断してもらえればいいので。無責任な言い方ですけど、支払いをするのはお客様なので良し悪しは当事者の判断になると思いますね

大森さん

これだけは言っておきたいんですけど…めちゃくちゃデザインが良くて、めちゃくちゃ性能が良くて、めちゃくちゃ安い家は、「ない」です!(笑)

麦田さん

ありえないです

大森さん

ローコストの安い住宅も、それはそれでひとつのストロングポイントだと思うんですよ。ただ気を付けなきゃいけないのは、安い理由を納得したうえで建てられるかどうか。安さの理由を知らずに、金額だけを見て建ててしまうと後からこういったところで安くなってて、ここはもうちょっとこだわりたかったのに…というのが出てくると後悔につながってしまうのかなと思います

安い会社が安い理由とは?知識をつけて見抜く力を養う

初谷

ローコストの家を提供している会社の営業マンも安い理由を説明するとが多いと思いますが、本当のことを言えているのか、言えない話しもあるのではないかと疑ってしまうのですが…。安い会社が安い理由にはどんなものがあるのでしょうか?

麦田さん

私もそういう物件を見たことがありますけど、表向きは結構いいんですよ。正直に言って、悪くないです

初谷

安いのに、ここまでやってるみたいな感じですよね

麦田さん

見た目はそれなりにいいですよ。やはりよく聞くのは「たくさん建てているから安く仕入れて安くできる」という言葉ですよね。でも、私たちが大事にしているのは、お家の中身、本質の部分がどうなっているかなんです。最近は、気密や断熱について言われ出しましたが、私たちは以前からずっとやり続けていることです。金額ではなく家の本質を一番に考えて建てた結果、住まい心地にかなり差が出てくるんですよ

初谷

具体的にはどんな差がでてくるのでしょうか?

麦田さん

「おしゃれな家がこのお値段なら買いだな」と買いますが、実際に住んでみたら光熱費がものすごく高いということも起こります。
例えば冬の時期は、暖房をガンガンかけても部屋が暖まらないので、結局電気代が高くなってしまうなど、買うときには見えない部分が出てくるんです。
具体的に言うと、安い家を月々7万円で買った場合と、もう少し頑張って、値段が高い家を月々8万円で買った場合に、安い家は光熱費がかさんで毎月9万円、家の値段は上がったけど光熱費を合わせても8万5000円。どちらがいいですか?という話なんですよね

初谷

実際に住まないとわからない部分ですね

麦田さん

車業界はいち早くハイブリッドカーが出て、初期投資は少し高いけど、トータルで見るとハイブリッドが得だよねと考える方が増えています。
お家も今同じような考えになりつつあります。ですから、最初の目先の値段ではなくて、メンテナンスのコストなどトータルで考えたらどちらが得なのかということまで考えて決めてほしいなと思いますね。
理解したうえで安い会社に行くのはいいですけど、そこまで知らずに金額だけで安い家を買ってしまって、結局いろいろなコストがかかって後悔している方が圧倒的に多いですから

初谷

なるほど

麦田さん

本当は買う前に勉強していただきたいところです。
まんてん.も建房さんも家づくりセミナーというのをやっていますけど、そこで建てる・建てないは別として、家づくりのスタートはまずは最低限の知識を持ったうえでいろいろな会社さんを回ってくださいね、という思いでセミナーを開催しています

初谷

…今のお話はめちゃくちゃ分かりやすかったです!
ありがとうございます

大森さん

お客様は「安くて、いい家を建ててくれる住宅会社ないかなぁ」って探していると思います。お休みや家族の団らんなどの貴重な時間を使って探すわけですから、効率的に狙いをしぼって住宅会社さんを巡るのが大切だと思うんです。狙いをしぼるためには知識をつけるしかないんです。知識をつけて自分の物差しを持たないと、住宅会社さんの言いなりになってしまうんですよね

麦田さん

各社いろいろですから「うちはこれがいいと思う」「あれがいいと思う」と言われたらお客様も訳がわからなくなるんですよ。判断基準を一つ持っていれば、A社は自分たちの考えと合わない、B社は合うけど値段が高いなとか、ある程度見えてきます。
どんな基準で判断するかは各自なので、まずは購入される方もとにかく勉強していただきたいです。結果的に後悔しない家を建てられるので自分のためになります

初谷

まずはとにかく勉強する。学んで知識がつけば、工務店さんに聞きたいこともおのずと出てくるということですね!
いいことを聞きました。ありがとうございます

続く第2回目は、これまでたくさんの家を建ててきた工務店の社長さんが語る「理想の家」とは?家の価格を決める「坪単価」の秘密などためになる話題が登場します。 >> 第2回はこちらから

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