ローコストを知っているからこそ提案できること


初谷
先ほどローコストもやられていたということで、今お話聞いて驚きました

近藤さん
この建物でも抜くところは抜いてるんですよ。2階なんかめっちゃ抜いてるじゃないですか。そんなに何もこだわってない

初谷
ただ基本の仕様というか、欄間があったりとか、御社がやらなきゃいけないことをやってる


近藤さん
そうです。でもお金がかかってるわけじゃないですから。上だけ見たらローコストの家と全然変わらないです。壁紙はビニールクロスですしね

初谷
そうなんですか

近藤さん
そうです。漆喰で塗ってるように思うでしょ。全然ビニールクロスです。上はベニヤですからね

初谷
これもまたすごいかっこいいですよね


近藤さん
だからまあ、めちゃめちゃ高価なもんばっかり使ってるわけじゃないんですよ。その辺は知ってるからなんです

初谷
それは素晴らしい。多分お客さんもローコストも行ってる方が多いでしょうから、教えてあげやすいですよね

近藤さん
そうですね

初谷
悪いばっかりじゃないですよっていうのも

近藤さん
そう。悪いばっかりじゃないですよ。やっぱり家って持つべきなんですよね。高齢になって施設に入れない場合、家で過ごさないといけないわけだから。
ただその安い家が、自分たちが高齢者になった時まで使えるのかっていう、その辺なんですよね。使えるローコストならいいんですけど

初谷
要は、すぐにダメになる家だったらダメっていうことですね

近藤さん
そうそう。それはやめましょうっていう。別にローコストが悪いとかって言ってるわけじゃないんです、全然

初谷
では、ローコストをやられていたからわかることと、今の御社の家づくりにおいて共通点や違いなど、いくつか教えていただきたいです

近藤さん
そうですね。ローコストも、いわゆる単価の高いお家も、住む器には違いないんですよ。ただやっぱり家って長く住むものじゃないですか。たとえば30歳で建てれば、50年、60年って使うものですから。その間、きちんと維持管理をして、快適でしかも省エネで住めるのであれば、別にローだろうが、ハイだろうが、構わないと思うんですよね

初谷
なるほど
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近藤社長が考える家づくり、工務店のありかた


初谷
今あえて御社がこういった性能とかをこだわられている理由っていうのはどういったところですか

近藤さん
まずやっぱり大義で言うと、地球のためです。あとは当然住まう方たちのためでもあるんですけど、家っていうのは、さっきも言ったように、長いことその場に残っちゃうじゃないですか。
ということは、住んでる人だけのものではなくて、例えばその周りの人たちや、前を通る人たちのもの目にも入りますからね

初谷
地域の一部ってことですね

近藤さん
あとはそうですね、後世住み継ぐ人のためにもなるかもしれないし、なんといっても作る我々、職人さんとか協力業者さんのためでもあると考えてるんです。そういう面でも、やっぱり家っていうのはきちんと作っていかないといけないと思ってます

初谷
なるほど。お客さんってどんな方が多いですか?

近藤さん
私は、初めてお会いした方には、弊社の特長とか、弊社の家づくりについて、特に話はしてないんです。
この業界全般というか、住宅というものについてや業者さんの選び方とか基本的な話しか伝えてないんですよ

初谷
それはどうしてですか?

近藤さん
結局業者を選ぶのはその本人なんですよね。だから選んでもらいたいですけど、ミスマッチっていうのがあるといけないので

初谷
そうですね

近藤さん
だからまあ、自分たちが選びたい業者さんを選んで、自分たちが建てたい家を建てる。でもそれはちゃんと色々な情報を知っていて建てるべき。それが本来の後悔しない家づくりだと思っています

初谷
おっしゃる通り、やっぱりお客さんに選んでもらえる住宅会社になるっていうのは、まず一つないといけないですからね。そして、なるべくお客さんに情報提供しようというのは非常に素晴らしいスタンスですね

近藤さん
そうです。だって、みんな選んでもらったら困りますから(笑)


初谷
でもその分、本当のことを言って、そこにちゃんと心が動いてくれる方と一緒に仕事がしたいという

近藤さん
そういうことです

初谷
それは非常に、地域密着の工務店さんらしいといいますか、あるべき姿というか、そんな感じを受けます

近藤さん
そうですね。工務店だからこそできることってあって、作るべき家ってありますから、それが工務店の位置だと思うんです

初谷
工務店だからこそできる家づくりっていうのは、社長の解釈ではどんなものですか?

近藤さん
私はやっぱり、その地をしっかりと把握して、その地に合った建物を設計するのが、工務店。で、資材もなるべく近いところで調達して、作り上げていく。人間もそうじゃないですか。近くの人たちで家を作ってるわけなんで、それが工務店の本来のあるべき姿だと思います

初谷
そうですね

近藤さん
ハウスメーカーさんのお家って、東京かどっかの本社で企画されたものを岡山に持ってきて建てるだけじゃないですか。でもそれって、岡山のために家を作ってるわけではないので。だから我々は、「岡山のために家を作るべきだ」っていう風に考えています

初谷
例えば、岡山で建てるべき家と、その他のエリアで建てるべき家だと、やっぱり変わってくるんですか?

近藤さん
全く違いますよ。同じ岡山でも場所によって敷地の形状であったり、条件であったり、あとはパッシブ的な要素であったり、そういうものを加味して、設計はしていかないといけないと思います

初谷
雨の量だったり、風向きとか、そういったことですか

近藤さん
そうそう。そういうことです

初谷
なるほど。今から住宅業界がどんな風になっていったらいいとかって、最後にちょっと大きなお話も聞きたいんですけど

近藤さん
やっぱり今、家を作るみなさんが非常に勉強されてます。まあ、多様性とかね、いろんな情報がたくさんあふれてますから

初谷
はい

近藤さん
ただその情報の中で、いかに正しい選択をするかっていうのが、家づくりの一番のポイントになると思うんです。だから、先ほども言ったように、作る側の我々としては、正しい情報をきちんと開示して、お客様に伝えるべきだと思います。そういう風にね、家づくりをしてもらいたいなって思っています

初谷
非常に工務店さんらしいといいますか、近藤社長のすごく芯の通った、信念みたいなものを感じますね

近藤さん
ありがとうございます

初谷
今日はありがとうございました
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※本記事ページでは、読者の皆さんへ見学に訪れた感覚をできる限りそのままお伝えしたいと考えており、会話の内容はほぼ加筆修正せず書き起こし、写真もなるべく加工せず用いています。皆さんもぜひお友達と一緒に訪れた気持ちでお楽しみください。また、掲載の間取りは簡易図となり、実際とは異なります。
HOUSE DATAハウジングデータ
延床面積 | 125.86㎡(38.06坪) |
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1F面積 | 79.49㎡(24.04坪) |
2F面積 | 46.37㎡(14.02坪) |
工法 | 木造軸組剛床工法、木造軸組パネル工法、高気密高断熱高耐震工法、制震工法 |
竣工年月 | 2020年 |
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